目的はOSgridやJOGとローカルの間を行き来することです。あるいは、アバターや持ち物のデータを自前のPCに保持したいということです。
前の記事で、もとちゃ さんの記事を紹介しました。これはグリッドモードのハイパーグリッド。OpenSIM公式ページの解説によれば、スタンドアロンモードでもグリッドモードでもハイパーグリッドモードを適用できます。
スタンドアロンでハイパーグリッドとは矛盾しているように聞こえます。スタンドアロンとは単一のサーバ(OpenSim.exe)ですべてをまかなうシングルサーバ、グリッドモードと呼んでいるものはリージョンサーバ(OpenSim.exe)と別にアバターや持ち物を管理する サーバー(Robust.exe から起動)を分離する、マルチサーバーと考えるといいでしょう。シングルサーバ(スタンドアロン)が簡単に決まってるので、こちらでやってみることにしました。MySQLもROBUSTも使いません。
外部からアクセスできなければいけないので、島を公開するためのネットワーク環境は、ここでも必要です。ROBUSTサーバーはポート 8000番台を使いますが、今回ROBUSTサーバーは使わないので、開けるポートは 9000番台(9000以降、島の数だけ)のTCP/UDPのみです。
まず、スタンドアロンで島を構築し、ローカルからアクセスできるものとします。このシリーズの前半の一連の記事を参照ください。
それを前提に、各設定をハイパーグリッドモードに変更します。
参考にしたものは、OpenSimの公式ページですが、多少アレンジが必要なようです。
http://opensimulator.org/wiki/Installin ... pergrid/ja
以下はOpenSIMサーバー ver.0.8.0系に関するものです。 ver.0.8.1 対応のスタンドアロン+HGの設定について別記事にまとめました。
1. OpenSim.ini
bin/OpenSim.ini をテキストエディタ開きます。ファイルの最後ほう、[Architecture]のところ。OpenSIM本家からダウンロードしたものでは、スタンドアロンモードに設定されているはずです。これをスタンドアロンのハイパーグリッドモードに変更します。該当行頭の「;」がコメントアウトの記号。
OpenSim.ini の変更は、この1箇所だけです。; Include-Architecture = "config-include/Standalone.ini"
Include-Architecture = "config-include/StandaloneHypergrid.ini"
; Include-Architecture = "config-include/Grid.ini"
; Include-Architecture = "config-include/GridHypergrid.ini"
; Include-Architecture = "config-include/SimianGrid.ini"
; Include-Architecture = "config-include/HyperSimianGrid.ini"
2. StandaloneCommon.ini
このファイルは bin/config-include/StandaloneCommon.ini にあります。よく似た名前のファイルがいくつかあるので間違えないように。テキストエディタで開きます。
1)まず、このファイル内の何ヶ所かにある "http://127.0.0.1:9000" とあるものを、グローバルのホスト・ドメイン名に書き換えます。私の場合、DDNSで取得したもの、"http://shinobar.server-on.net:9000"です。コメント内のものも含めてそっくり置き換えます。
2) [Hypergrid]
ファイル冒頭は [DatabaseService]セクションですが、今回 MySQLは使用しないので、ここは初期設定のままにしておきます。
次のセクションが [Hypergrid]です。初期設定でこのセクションはすべてコメントアウトされています(行頭が「;」)。
次の2行を有効にします。例は私のDDNSのホスト・ドメイン名です。
コード: 全て選択
HomeURI = "http://shinobar.server-on.net:9000"
GatekeeperURI = "http://shinobar.server-on.net:9000"
このセクションに次のような記述があります。
Region_Welcome_Area = "DefaultRegion, FallbackRegion"
これは、何の指定もなくゲートキーパー(この例で http://shinobar.server-on.net:9000)にアクセスがあったとき、「Welcome Aria」という名のRegion(島 あるいはSIM)に送ることを指定しています。「Welcome Aria」という名のRegionが無い場合、作成した島のうちのどれかを指定してやります。
戸惑うかもしれません。他の変更部分はすべて '=' の右辺を変更するのに対し、ここでは '=' の左辺、Regions_XXX の部分を変更します。
私の場合、Shinobar というRegion なので、次のようにしました。
コード: 全て選択
Region_Shinobar = "DefaultRegion, FallbackRegion"
せっかくなので、ウエルカムメッセージを書き換えておきます。
コード: 全て選択
WelcomeMessage = "Welcome to Shinobar world!"
コード: 全て選択
SRV_HomeURI = "http://shinobar.server-on.net:9000"
SRV_InventoryServerURI = "http://shinobar.server-on.net:9000"
SRV_AssetServerURI = "http://shinobar.server-on.net:9000"
SRV_ProfileServerURI = "http://shinobar.server-on.net:9000"
SRV_FriendsServerURI = "http://shinobar.server-on.net:9000"
SRV_IMServerURI = "http://shinobar.server-on.net:9000"
;; For Viewer 2
MapTileURL = "http://shinobar.server-on.net:9000/"
loginurlを、外部ホスト・ドメイン名にすることと、グリッド名が初期設定では"the lost continent of hippo"(失われたカバの地?)となっています。適当な名前を決めて変更しておきます。
コード: 全て選択
login = http://shinobar.server-on.net:9000/
gridname = "Shinobar World"
gridnick = "shinobar"
コード: 全て選択
uas = http://shinobar.server-on.net:9000/
ExternalName を設定しておきます。
コード: 全て選択
ExternalName = "http://shinobar.server-on.net:9000"
bin/Regions/Regions.ini をテキストエディタで開きます。
この中にある「ExternalHostName = SYSTEMIP」とあるのを、すべて外部ホスト・ドメイン名に変更します。
コード: 全て選択
ExternalHostName = shinobar.server-on.net
設定の変更は以上です。